実質的な必要性からつくり始めたもの

2010-12-19

私の場合は、日本で女のための服づくりを始めた当初、ライセンスの仕事を広げることなど考えていなかった。しかし、その頃はまだいろいろな物が十分でなかった時代だったから、選択の幅も限られていた。だから、着るものだけでなく、生活の周辺のさまざまなものについても、欲しいいと思うものは、特別につくらなければ手に入らなかったのだ。私のものづくりが、服をこえて広がったのは、欲しいものがないというところからスタートしたのである。たとえば、こういう服を着たときには、一緒に歩くパートナーにはこういったネクタイをしてほしいと思う。それで、ネクタイをつくるようになった。また、電車に乗っているとき、前に座っていた男性が足を組むと、趣味のよくない靴下が見える。私だったらこういう靴下にしたい。そこから、HMの男の靴下が生まれてきた。そして寝るときには、安眠できる気持ちのよい素材と柔らかい色(できれば白が一番だけれど)のパジャマを着たい……。そういった身近な発想から始まった。私自身、仕事をする女の一人として、こんなデザインのものがあったら便利で重宝するのに……という実質的な必要性からつくり始めたものもある。