いい家に住みたい、いい家を建てたい、というのはだれもがもっている夢です。その夢を実現するには、リフォームを含めて、かなりのお金を必要とします。生涯でもっとも高い買いものをするのですから、失敗はしたくありません。私たちは洋服や靴を購入するとき、何軒ものお店を訪ねて、袖を通して試着したり、自分の足でじかに靴をはいて、はき心地をたしかめてみます。あんなに選んで購入したはずの洋服なのに、あとで気にいらなくなって洋服ダンスにしまいこんで、そのままにしてしまうことがあります。ところが、住まいづくりは、気にいらなかったからといって、タンスにしまいこめるものではありません。一人ひとりが異なる人格をもっているように、一軒一軒の住まいも家族の事情でちがいます。リフォームでも、どこを充実させたいかは、人それぞれにちがいます。そのうえ困ったことに、人は5年たつと、好みや意識、立場がかわってきます。おむつをしていた赤ちゃんが小学生になり、小学生だった子どもが高校生になったりします。家は生きています。あまり遠い将来のことまで考えすぎると、現在の生活がめちゃめちゃになってしまいます。私は、5年をめどの生活と区切って、節目ごとの住まいづくりを提案しています。たとえば高齢者住宅では、お年寄りにどこまで配慮するかはたいせつですが、いきすぎた配慮は、自力で生活をしようとしている人の肉体を衰えさせることになりかねません。また、あらゆる場所に手すりをつけたのでは、住まいとはいえなくなります。住まいは、施設や病院ではないのです。元気な人も、お年寄りも、家族として共生しているのですから、住まいは心が落ちつく場所であり、楽しいところでありたいものです。
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