紙を作るにはたくさんのエネルギーが必要とされますが、古紙を使えば省エネルギー効果はどの程度期待できるのでしょうか。化学パルプと機械パルプを、それぞれ五〇%ずつ入れた紙パルプを一キログラム作るとすると、二七三一キロカロリーのエネルギーが必要です。これに対して、古紙パルプを作る場合は一〇八一キロカロリー、つまり、木材から紙パルプを作る場合のおよそ三分の一のエネルギーですみます。パルプといっても、製法によって品質や種類に多様なものがあるので単純にはいえませんが、古紙パルプの利用は省エネルギーに大きな効果かおることがわかります。また、古紙パルプを利用するとエネルギー消費が少ないので、その分だけ炭酸ガスの排出量も少なくなり、地球温暖化の防止にもなります。では、古紙のリサイクルは炭酸ガスをどのくらい減らすことができるのでしょうか。日本の平均的な値をみると、一トンの化学パルプを作ると二・五トンの炭酸ガスを発生させます(原子力発電や水力発電では炭酸ガスの発生量はゼロになるが、ここでは日本の発電量の五〇%を占める火力発電をペースに計算)。ところが、古紙を使うと五分の一の〇・五トンの炭酸ガスの発生ですみます。さらに重要なことに、古紙として利用できる紙がごみとして燃やされると、一トンにつき〇・八トンの炭酸ガスが発生します。もし、リサイクルをせずに新しい紙をどんどん使い捨てていくと、紙を作るときに紙一トンあたり二・五トンの炭酸ガスを発生させ、また焼却するときには一・八トンの炭酸ガスを発生させ、合計で四・三トンの炭酸ガスを発生させることになります。このように紙は、生産するときと焼却するときに大量の炭酸ガスを排出します。その炭酸ガスは地球の森林が吸収します。しかし、その森林を紙を作るために伐採してしまうと炭酸ガスを吸収する森林もなくなります。確かに、パルプの材料は大木だけではなく、間伐材や建材の小片、そして廃材も貴重な原料になっています。それはすばらしい人間の知恵です。だからといって、今のように大量の紙の使い捨てを続けていたら、その間伐材も建材の小片もなくなっていきます。紙の白色度を低くすればコストも下がる紙は真っ白でないと安っぽい、仕事の相手先には真っ白い紙でなければ失礼になる。こう思われていたのはつい一〇年前です。今は時代が変わり、ややクリーム色の「白色度七○%」の再生紙がコピー用紙の主流になりました。「白色度」とは、紙の白さの指標です。酸化マグネシウム標準白板の光の反射量を一〇〇として、光の反射の割合を示しています。最近のコピー用紙は、古紙の混入率がおおむね七〇%になっていますが、同じ再生紙でも、まだ真っ白いものが使われていることがあります。白色度八〇%と白色度七〇%の紙を比べると、白さの違いですぐにわかります。白色度八〇%の白さにするためには、塩素漂白のための塩素の使用量を多くしたり、化学物質を多量に使わなくてはなりません。そのため環境への負荷が大きくなり、製造コストも高くなります。オフィス町内会という企業の隣組組織が、製紙メーカーの協力を得て行った試算では、古紙をまったく配合していない「天然パルプ」から作ったコピー用紙(白色度八〇%)の製造コストを一〇〇としたとき、白色度七〇%の再生コピー用紙は九二、白色安八〇%の再生コピー用紙は一〇〇となりました。「再生コピー用紙は高い」とされるのは、しつけ天然パルプと同じ自さを求めた場合の話です。再生コピー用紙でも白色度七〇%のものは、製造コストは安いのです。私たちは、一度植えつけられた「再生紙は高い」という固定観念をなかなかぬぐうことができません。それはマスコミが、その後の「進歩」についてあまり取り上げなかったりするため、私たちが知る機会が少ないことも原因でしょう。