精密機械工業で世界の先端を走っていたスイスには、時計のブランドがたくさん生まれている。アメリカ航空宇宙局(NASA)の公認時計の「OMEGA」(オメガ)や、ジュエリーか時計かわからないような宝飾カラーの強い「PIAGET」(ピアジェ)のようなブランドとならんで、20世紀初頭のスタートながら、「ROLEX」(ロレックス)の築いた地位は不動のものだ。日本での人気は、その金ピカ度にあるようだが、このブランド本来の持ち味はムーブメントの正確さと頑丈さにある。これは、そもそもロレックスの名を高めた「オイスター」という腕時計の存在があるからだ。もともとが紳士の持ち物として愛用されてきた時計は、懐中時計のスタイルが多く、高級品がさまざまに工夫されていた。ところが、ロレックスが創業してすぐ、ヨーロッパは第一次世界大戦の嵐に襲われる。戦線にでた兵士たちは、重装備をつけたままゴソゴソと時計を引っぱりだすわずらわしさから逃れたくて、腕時計を使うようになる。