隙間なく薬が並べられ客がゆっくりと薬を選ぶスペースがない

2012-02-05

渋谷駅ハチ公前交差点の角地。看板は大きく目立つが、店舗は変形三角形で狭い。店内にはほとんど隙間なく薬が並べられており、客がゆっくりと薬を選ぶスペースはない。入り口の右横には地下に降りる階段がある。下では化粧品を扱っているらしい。場所柄だろう、つぎからつぎへとお客が入ってくる。午後三時。そして、客の多くは、薬を手に持ってレジの前に並んでいる。つまり彼らは、どの薬を買えばいいのかわかっているのだ。カウンターの中には、白衣を着た若い男性二人と女性がひとりいた。ぼくは真ん中にいた男性のレジの列に並んだ。「風邪薬が欲しいのですが?」「どれにしますか?」「どの薬がいいかよくわからないのですが」彼は面倒な客だという表情を隠さなかった。「あのおー、喉が痛くて、頭が……」「それならソーゴーしかないね」ぼくの言うことを最後まで聞かず、口をはさんだ。「ソーゴーってなんですか?」「これですよ、総合感冒薬。喉が痛いのでしょう。これがいい」レジのすぐ横に積んであった箱を包みはじめる。シオノギかぜ薬『パイロンAM錠』「はい、千九十二円ね。二円あります?」「あのおー」「なにか?」「いえ……」ぼくはすごすごと帰るしかなかった。忙しくて、せわしないせいなのだろうが、病気で具合の悪い人に対し(ほんとは違うけど)、もう少し違う接し方があるだろうに。薬BのIさんのマニュアル的接客すら素敵なものに思えてくる。しかしまあ、病院に行く患者にしてみれば、医者もきっとこんな感じなのだろう。