ひと口に「欠陥」といっても、細かく分析すれば、その中には「欠陥・現象」「欠陥原因」「欠陥判断」という、それぞれ違う概念が含まれている。そして現実に法廷で相手の落ち度を立証するには、その三つの欠陥概念を明確に区分けして指摘することが重要である。つまり。「雨が漏る」だけでは(それがどんなに酷い雨漏りであっても)、欠陥の現象面を指摘したにすぎない。これでは、法律に則って業者の瑕疵を認めさせるには至らないのである。
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一方、弁護士がよくミスをおかすのもこの点である。依頼者に「雨漏りがする」と言われて、訴状の請求原因にそのまま「雨漏りがする、よって欠陥だから損害賠償しろ」と書いてしまう。同じく「家が傾いている」と言われれば、その傾きという現象だけを欠陥の根拠に安易な訴状をつくってしまう。これに対し業者は、専門用語やデータなどを山ほど出してきて、こう反論する。「雨漏りはかくかくしかじかの状況においては不可避であり……また、木造の家というのはその性質上、これこれの理由から多少の傾きが起こるのはやむをえない」専門家の話と、対する被害者側弁護士の主張とのはざまで、裁判官はどうにも判断がつかなくなってしまう。仮に、心の中では被害者側の主張が常識的には認められるべきであろうと思っても、裁判官という立場で「欠陥」と判断するための根拠がない。毎回その繰り返しで、進展なきままに裁判が長期化する。要は、「欠陥とは一体何か?」という部分を、被害者側弁護士が確立していなかったのである。